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【令和6年度最新】事業再構築補助金 申請のポイントと注意点(工務店版)

事業再構築補助金 第12回公募がはじまりました

ようやく事業再構築補助金の第12回公募が公表されました。

コロナの影響で売上が大きく減少した企業に対して、「新しい事業への転換を支援する補助金」としてスタートしたこの制度。
しかし、制度の主旨を逸脱した事業や申請におけるルール違反、事務局側の不祥事などが続き、2023年秋には国によるレビューで制度そのものの必要性まで言及されました。

その後、内容を大きく見直し今回の公募となりました。

工務店にとっては有効な手段です

新築(持家)の住宅着工戸数は、2年以上毎月前年比を下回るという大変厳しい状況にあります。
工務店にとって、事業再構築補助金は事業の新しい柱を作るための有効な手段となりえます

この記事では、今回の事業再構築補助金のポイントをご説明します。

「事業再構築補助金」ホームページも併せてご参照ください。
参考 事業再構築補助金 -中小企業庁

第12回公募のスケジュールは?

第12回公募の全体スケジュール(確定と予想)
■ 説明会:申請前に説明会を受講できます(任意)
■ 応募締切(確定):令和6年7月26日(金)18:00
■ 採択発表:令和6年10月下旬~11月上旬頃
■ 交付決定~事業開始:採択後交付申請を行い、交付決定まで2~3か月の見通し
■ 実施報告締切:
 事業類型(A)(C)(D)は採択発表から14か月以内
 事業類型(B)は採択発表から16か月以内
■ 確定検査終了(交付額の確定):実施報告提出後2~3か月
■ 補助金の請求~支払:交付額確定から1~2ヶ月

例えば、令和6年7月に申請するとします。
採択発表が11月上旬で、仮に採択されたとすると、その後交付申請を行い、交付決定するのが令和7年1~2月。
事業着手は交付決定後ですから、事業を始めることができるのは来年1~2月ごろになります。

事前着手申請が原則廃止、事業スケジュールの検討を

前回までは枠によって事前着手申請という制度があり、先に事業を始めても良かったのですが、今回から一部の経過措置を除き原則廃止になりました(後述)。

そのため、採択されるかどうか分からないが事前着手申請をして、とりあえず事業を始めよう、ということができなくなりましたのでご注意ください。

入金するまでの資金繰りも忘れずに

補助金の入金は、交付決定されてからでも1年~1年半くらい先になります。
その間の資金繰りは自社で回す必要があります

補助金額が大きい場合は、金融機関と十分打合せのうえ申請してください。

これらのスケジュール感を理解した上で、事業再構築補助金を検討しましょう。

第11回公募から大きく変わった点は?

では、前回の第11回公募から大きく変わった点をご説明します。
(ここでは「サプライチェーン強靭化枠」を除きます。サプライチェーン強靭化枠に関心のある方は、別途公募要領をご覧になるか、弊社までお問い合わせください。)

前回からの主な変更点
(1)実質8枠あったものが、4枠に減少
(2)売上高減少要件は廃止
(3)事前着手申請は原則廃止
→ただし経過措置として、第10回または第11回公募における「物価高騰対策・回復再生応援枠」「最低賃金枠」で申請したものの不採択で、第12回公募「コロナ回復加速化枠(通常類型または最低賃金類型)」で申請する場合に限り認められます。
(4)審査項目や加点項目が変更
→審査のポイントとして「事業の実現性を重視する」という姿勢がはっきりとしています。
新規事業の有望度や事業実現の可能性、公的補助の必要性など、税金を注入する以上、その事業の成功の可能性をしっかりと事業計画に落とし込む必要があります。

社長はオンライン面談の準備を

さらに大きな変更点として、今回から社長に対する口頭審査(オンラインによる面談)が追加されました

これは、申請を認定支援機関やコンサルに丸投げしているケースが横行したことから、「事業者自らが策定するという主旨に沿っているかどうか」を確認するためと考えられます。

事業計画策定のポイント

事業再構築補助金の主旨を理解したうえで、公募要領の審査項目に沿った内容かどうかが重要になります。

・現在の事業環境(SWOT分析)
・新事業に取り組む理由
・その事業の可能性(市場分析、集客手段と期待される集客数 ※ここが重要
・自社の経営資源との相乗効果
・具体的な損益計画や資金繰り
・その事業のリスクと対策
などを、具体的に記載します。

特に、事業に対する社長の思い入れが伝わることが望ましいと思われます。

SWOT分析については、別記事で詳しく取り上げていますのでご参照ください。

事業展開

工務店は今回の事業再構築補助金をどう使う?

「新築市場が大変厳しい状況で、新築専門であった工務店がリフォームやリノベに事業転換をしたい」というようなケースがまず考えられます。

リフォーム市場は成長分野に入っているので、事業類型(A)で申請は可能かと思われます。
ただ、そもそも工務店は少なからずリフォームもリノベも事業の一部という見方もできます。
そこで、事業再構築補助金の審査を通るためには、もう少し工夫が必要です。

例えば、空き家対策を兼ねたリノベ住宅販売への転換。
この事業計画には、空き家の持ち主をどうやって見つけるのか、相続問題はどう解決するのか、その上で土地建物をどのようにリノベするのか、その顧客をどう集め販売するのか…といった内容が必要になるでしょう。

コロナ融資の借換をしている場合

事業類型(C)という枠があります。
これはいわゆる「コロナ融資」を受けて、借換をした場合に使えるものです。

しかし、コロナ融資の借換をしているということは、やはり資金繰りが改善できていない状態も考えられるので、金融機関と打合せをして申請する必要があります

賃上げ要件を満たせば優遇措置も

国はいま、中小企業の賃金引上げを強力に推進しています。

事業再構築補助金も、給与総額の引上げや賃金引上げの要件を満たす場合、補助率や補助金額の増加という優遇措置があり、利用していきたいところです。

さいごに:工務店の今後を見据えて前向きな検討を

事業再構築補助金の第12回公募は、かなりハードルが上がったように感じます。

それでも、まっとうで前向きな事業であれば、補助金を利用する価値は大いにあると思います。
ぜひご検討ください。

参考 事業再構築補助金 -中小企業庁

弊社でも事業再構築補助金の申請に関するご相談をお受けしています。前回(第11回公募)も弊社がお手伝いした案件が採択されております。
初回ご相談は無料です。その他、補助金・助成金や国の制度について知りたいことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

この記事に関するご質問・ご感想・お問い合わせは【工務店経営の専門家・ジクージン】まで、お気軽にお送りください。


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ABOUT US
間瀬 隆司
工務店経営の専門家。集客・営業、人材教育・組織づくり、経営計画、資金繰りを含めた「全ての面倒をみる」スタイルのコンサルティングで、工務店さんを支え続けて30年。工務店のほぼすべてを知り尽くしており、駆け込み寺的な役割を果たしています。神奈川県横浜市在住。海を見るとホッとします。
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