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【第41回】売上を前倒しして今期の決算を黒字にしたい ~工務店の数字2

Qわが社は6月決算です。今期は予定よりも工事が遅れたため、2棟ほど引渡が7月にずれ込みそうです。
6月に売上を計上できれば、何とか黒字を確保できます。
なのでこの2棟を売り上げたいのですが、どうすれば良いでしょうか?
(工務店・45歳・山梨)

Aはい。時々このようなご相談をいただきます。
そもそも「売上」とは何でしょうか。

住宅建築業の「売上」とは?

決算を黒字にするには

住宅建築業の場合、請け負った工事が完成し、顧客に引渡しが完了した時点が「売上」です

その証拠として、「工事完成引渡証」や「鍵の引渡証」にお客さまから捺印をいただくことで、売上証憑(うりあげしょうひょう)となります。

この日付が極めて重要な意味を持ちます

以前の日付で書類を作成してはいけない

例えば、工事が遅れて、7月15日に引渡ししたとします。
当然、7月15日付の引渡証に捺印となりますね。

でも6月に売り上げたいので、6月30日付の引渡証にして捺印をもらう。

これは粉飾であり、絶対にやってはいけません

「そんなの、バレないだろう」と思われますか?
残念ながら間違いなくバレます。

税務署は、決算月前後の売上に関しては、基本中の基本として徹底的にチェックします。
その道のプロですから。

というわけで、無茶はやめましょう。

問題を隠さず向き合うことが必要

考えてみてください。
なぜ、細工をしてまで黒字にしたいのでしょうか。

決算は、1年間の業績を表すものです。いわば会社の成績表です。
それが赤字になったとしたら、どこかに問題があったからだと考えられます。

その現実を隠そうとするほうが問題です。
なぜこうなったのかを分析し解決しないと、同じことの繰り返しになってしまいます。

赤字への不安とは?

では、仮に赤字になったとして、何が不安ですか?

1.赤字になると銀行が融資してくれなくなる気がする
2.創業以来ずっと黒字だったのに、ここで途切れたくない

多くはこのどちらかではないでしょうか。

1.赤字になると銀行が融資してくれなくなる気がする

融資については、そもそも銀行は融資先を探しています。
ですから、自らあきらめる必要は全くありません。

隠さず報告すれば印象は悪くならない

・前期が赤字であった原因は何だったのか
・今期はそれに対してどのように対策をするのか
・どのような見通しなのか

こういった内容をきちんと書面(簡単な経営計画書)にして、社長が銀行に行き、説明をします。
そうすれば、間違いなく前向きに対処してもらえます。

「赤字になったら銀行の信用をなくす」などと不安に思う気持ちは分かりますが、起こるかどうかわからないことを考えるのはやめましょう。

それよりも、積極的に正直に自社の状況を報告するほうが、確実に信頼を得られます

2.創業以来ずっと黒字だったのに、ここで途切れたくない

これについては、社長のプライドに関わる話でもあるので難しいですね。

でも、本来の経営者であれば、つまらぬことにこだわらないことです。
必ずどこかで無理が来るからです。

来期からは確実に引渡しできる計画を

したがって、今期は無理をしないこと。
来期からは、6月中に引渡しができるよう、3か月前から工程をしっかり組み立てること。

これが自社がやるべきことだと考えましょう。

この記事に関するご質問・ご感想・お問い合わせは【工務店経営の専門家・ジクージン】まで、お気軽にお送りください。


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ABOUT US
間瀬 隆司
工務店経営の専門家。集客・営業、人材教育・組織づくり、経営計画、資金繰りを含めた「全ての面倒をみる」スタイルのコンサルティングで、工務店さんを支え続けて30年。工務店のほぼすべてを知り尽くしており、駆け込み寺的な役割を果たしています。神奈川県横浜市在住。海を見るとホッとします。
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