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【第117回】ウッドショックを乗り越える #1 国内への影響と今後の見通し

Q年間20棟ほどの工務店です。
ウッドショックで木材が入ってきません。そのため上棟もできず、契約工期も遅れることになりそうです。
何よりも資金繰りが心配です。どう対策すればいいでしょうか?
(工務店・55歳・埼玉)

Aウッドショック」は、コロナ禍における木材不足・価格高騰のことを指します。
工務店業界にも大きな影響が出てきています。

今回は、ウッドショックの現状と今後の対応について考えます。

ウッドショックはなぜ起こったのか?

きっかけはコロナ禍の住宅需要

ウッドショックの震源地はアメリカやヨーロッパです。
コロナ禍によるロックダウンにより、外出制限が始まりました。

「巣ごもり」を余儀なくされ、さらに「テレワーク」が推進されると、欧米でも自宅の改修工事が盛んに行われるようになりました。
こうして北米産およびヨーロッパ産の木材が大量に使われます。

一方、コロナ禍による経済の悪化を防ぐため、各国は巨額な経済対策を実施しました。

アメリカでは大幅な金融緩和政策により、住宅ローンが低金利となりました。
新築住宅を買いやすくなり、またテレワークの浸透で郊外に住宅を求める人が増えたこともあって、新築需要が一気に拡大したのです。

ヨーロッパや中国でも同様の動きが見られます。

労働力とコンテナが足りない

ところが、この需要に対し、北米木材産業の労働力が追いついていません。
さらに国際的なコンテナ不足が重なりました。

これらの要因が複雑に絡み、木材の不足と価格の高騰につながっています。

ちなみに木材相場は、カナダ産製材品「SPF材」の対日価格が7~9月期に1千ボードメジャー1,830~1,840ドルとなり史上最高値を更新、前年同期比3倍以上となっています。
(出典:日本経済新聞R3.6.19朝刊)

日本国内への影響

工期の遅れや資金繰りの懸念

日本では今年に入り、輸入木材が品薄となり価格が上昇しはじめました。
3月には「ウッドショック」という言葉が出てきます。

輸入材を多く使っている住宅会社はもとより、国産材を使っている工務店でもやはり木材不足が鮮明になってきました。
受注はしているものの「木材確保のメドが立たないため上棟できない」「契約工期を守ることができない」「資金繰りも懸念される」など大きな影響が出ています。

弊社のクライアントの工務店に確認したところでは、
「材木屋さんはつき合いの長い工務店に優先的に出荷しているようだ。それでも言い値で買っている。木材の調達はできるが、32~33坪の建物で、木材代が40~50万円上がっている」とのこと。
これは地域、建物の構造や仕様などで条件が違うと思われますので、あくまでも一例です。

値上げに踏み切る企業も

そしてついに、大和ハウス工業や積水ハウスなどが、木造住宅の値上げに踏み切ったと報じられました。
建物価格の上乗せ分は数十万円規模とのことです。
(出典:日本経済新聞R3.6.19朝刊)

当面の状況

北米産の木材価格は?

北米の現地における木材価格は、住宅設備が着工に追いつかないなどの理由で、6月には下落に転じている模様です。
それでも前年の2倍強と高値圏にあります。

アメリカ国内の住宅需要は堅調なので、当面は高値圏で推移する見通しです。

木材不足による着工戸数の減少は?

日本総研の予測(R3.6.7)によると、木材不足による着工戸数の減少は、R3年度上半期(4月~9月)は、前年から▲5.7万戸(前年比▲13.7%)と試算されています。

参考 ウッドショックで2021年度上期の住宅着工が6万戸下振れ ― 米国の住宅建設急増と労働力不足が背景 ―(日本総研)
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=39022

消費者心理の冷え込みで買い控えの懸念

前述の通り、大手ハウスメーカーが住宅価格の値上げを発表しました。
これに他の住宅会社も追随すると思われます。

値上げのニュースはテレビや雑誌でも取り上げられ、消費者心理を冷やしていきます。
ウッドショックにより契約工期がはっきりしない、そのうえ値上げとなると、徐々に新築住宅の買い控えが広がる可能性があります

ポストコロナの景気への影響は?

ワクチン接種が順調にいけば、年末にはポストコロナの「消費爆発」が起きると期待されています。

新築住宅は景気に対して大きな影響力を持っています。
仮に買い控えが発生すると、ポストコロナの消費動向にブレーキがかかる可能性もあります

買い控えにより新築住宅の着工数が減少傾向になれば、政府は住宅需要の刺激策を打ち出すと思われます。
通常は住宅ローン金利を引き下げるのですが、すでにかなり下がっているためその効果は限定的です。
その他の手段としては、減税策、補助金の追加、ポイント付与などが考えられます。

現段階でこれらの政策が実施されるかどうか不明ですが、オリンピック後の衆院選挙以降になるでしょう。

木材の供給と価格はいつ安定するのか?

これは今のところ、はっきりしません。
木材の需給と価格の安定のためには、アメリカの新築特需が落ち着く必要があります
しかし現在、その兆しは現れていないようです。

一つの見方としては、住宅ローン返済の影響が考えられます。
アメリカでは昨年の4月ごろから、すでに住宅を購入した人のために住宅ローンの返済猶予制度が導入されました。この申請数は210万人以上にもなります。

その猶予期間が6月から順次終わるようです。つまり、住宅ローンの返済を再開しなければならないのです。
しかし、ローン利用者の中には返済再開ができず、住宅を手放す人が出てきます。
すると中古住宅が市場に出回ることになり、新築需要がひと段落することが想定されます。

もっともアメリカ国内の雇用情勢は急激に改善されており、住宅ローン返済にそれほど大きな影響は出ないかも知れません。
この場合は、しばらく新築需要が続く可能性もあります。

少なくとも1年程度は見ておきたい

木材不足の解消には、アメリカ国内の住宅事情、住宅ローン、木材産業のキャパシティ、ヨーロッパや中国の木材消費量、海運用コンテナ不足など多くの要因があり、予想は非常に難しいと思います。

木材が順調に輸入できるようになっても、すぐに価格は下がらないかもしれないという見方もあるようです。

私感ですが、木材不足状態と価格高騰は、少なくとも1年程度は続くのではないでしょうか。

次回は、工務店ができる対応について考えます。
第118回に続きます。

工務店の時事解説

なお弊社では、コロナ禍やウッドショックにより、集客や資金繰りに影響を受ける工務店さんのための無料相談を行っています。下記特設ページよりご連絡ください。

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ABOUT US

間瀬 隆司
工務店経営の専門家。集客・営業、人材教育・組織づくり、経営計画、資金繰りを含めた「全ての面倒をみる」スタイルのコンサルティングで、工務店さんを支え続けて29年。工務店のほぼすべてを知り尽くしており、駆け込み寺的な役割を果たしています。神奈川県横浜市在住。海を見るとホッとします。
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