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【第63回】集客に手描きパースを使う意味とその活用方法とは?

Q手描きパースを推奨されているのを読みましたが、なぜCGパース(パソコンソフトで作成するパース)ではいけないのでしょうか?
なかなかパースを描ける人もいないと思うのですが…。
(工務店・設計担当・35歳・石川)

Aそうですね。パースもパソコンでさっと作れる時代に、「なんで今さら?」というお気持ちは分かります。

だからこそ、あえて手描きをおすすめしています。
 

パースはなぜ必要なのか

パースを描く目的を考えてみましょう。

パースを描く

家づくりを考えているお客さまは、家づくりそのものが初めてです。

家に関する知識も経験もありません。ことばも単位も図面も、初めてづくしです。

工務店さんは、年中家づくりをしているので、当たり前に分かっています。
ここにギャップが生まれてしまうのです。

お客さまは平面図と立面図だけで、「家」を想像できるでしょうか?
おそらく難しいと思います。

そんなお客さまと意思疎通が図れるツールが、「パース」です。
 

「手描きパース」と「CGやVR」の特徴

手描きパースも、CGやVRも、それぞれ一長一短があります。

手描きパース

手描きパースの良い点は、主に次の3つです。

(1)お客さまとの打合せ中に、その場でイメージを伝えられる
(2)お客さまの想像を膨らませるので、お客さまが自身の希望を伝えやすい
(3)同時に、お客さま自身が家づくりを楽しめる

ポイントは「想像力」です。

微妙なニュアンスや味のある手描きパースは、人間の想像力を働かせます。
その場でさっと描いて見せられれば、お客さまの中でイメージが広がり、気持ちも高まります。

ただし、パースを描くには、技術とセンスが必要です。
そのような高度なスキルを持ったスタッフはあまり見つからないのがネックです。
 

CGやVR

最近のCGやVRは、実に美しく細かく表現されるようになりました。

パソコンやiPadでも簡単にパースを描けるツールがあります。
しかも操作も簡単になっています。
iPadを使って、お客さまの前で描いて見せるのもアリだと思います。

とはいえ、そこそこ慣れないと、「使いこなす」感じにはなりません。
また、CGやVRは、ある程度プランが固まり、仕様が決まらないと半端な仕上がりになってしまいます。
「ざっくりしたイメージ」を表現しづらいのが難しいところです。
 

手描きパースをどこで使うか

プランも仕様も固まったら、手描きの完成予想パースを用意します。
1枚描いておけば、少なくとも3回は使えます。

1. ホームページに掲載する
2. 建築中の現場シートや現場看板に掲示する
3. 現場見学会のチラシやホームページ上の案内に利用する

それなら、CGまたは写真でもいいのでは? という疑問もありますね。

CGパースが多くなった今だからこそ、特に差別化になるのではないでしょうか。
リアルなCGや写真を普段見慣れているので、手描きが目を引くのです。
 

現場見学会の場合は特に、チラシやホームページなどでリアルなものを見せるのはあまりおすすめしません。
実物は現場で見られるからです。

それよりも、かわいい・かっこいい・爽やかなどの「雰囲気を表現する」。
お客さまに「実際に見たらどうなのかな」と興味を持ってもらい、来場していただくことが大切だと考えています。
 

「ヘタウマ」がポイント

ここで言う「手描き」は、CGと見間違えるような美しいものを指しているわけではありません。

むしろ、やや「ヘタウマ」なものが良いと考えています。
味わいがある方が、人は無意識に想像力を働かせるからです。

どのような雰囲気・テイストにするかは、御社のお客さま(ペルソナ)に合わせます。
 

ペルソナについてはこちらの記事で取り上げています。

工務店の集客

例えば、お客さま(ペルソナ)が「カワイイ系を好む」と設定している工務店さんであれば、子どもの絵本のような、柔らかい雰囲気が好まれると思います。

一方、お客さま(ペルソナ)に「学校の先生」など堅実な職業を設定している工務店さんの場合は、割とかっちりしたものが良いのではないでしょうか。

CGでも「手描き風」「水彩風」など簡単にアレンジはできるのですが、何かできすぎていて、ヘタウマ感がでません。
きれいなのに、どこか味気なく、冷たく感じてしまうことがあるのはそのためです。
 

描ける人を探してみる

パースを描ける人はいない、と思われますか?

スタッフや関係者の身近な親戚・友人に、美術系の学生さんや美術学校の出身者がいないか、聞いてみてください。
探すと案外見つかるものです。

一度描いてもらい、御社に合うようなら、その後も同じ方に依頼します。
これは画風の統一感を持たせたいからです。
統一した雰囲気を出していくことで、会社の主張がお客さまに伝わるようになります。
 

スキルを身につける

「ここがリビングで、対面キッチンのイメージはこんな感じですね」
お客さまとの打合せのとき、こんな話をしながら、その場でさっとパースが描ければ、信頼度は一気に高まります。

それは、iPadやCGとは違う、感動にも似たものだと思います。
なぜなら、今ではiPadが当たり前であり、手描きが特別になりつつあるからです。

ぜひ、営業・設計・インテリアコーディネーターの方は、このスキルを持っていただきたいと思っています。これは一生ものです。

ちなみに、パースの描き方講座も各地で開催されているようです。
絵を描くのが苦でなければ、マスターできます。

ということで、あえて手描きにこだわりたいのですが、古いでしょうか…。
 


この記事に関するご質問・ご感想・お問い合わせは【工務店経営の専門家・ジクージン】まで、お気軽にお送りください。


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ABOUT US
間瀬 隆司
工務店経営の専門家。集客・営業、人材教育・組織づくり、経営計画、資金繰りを含めた「全ての面倒をみる」スタイルのコンサルティングで、工務店さんを支え続けて30年。工務店のほぼすべてを知り尽くしており、駆け込み寺的な役割を果たしています。神奈川県横浜市在住。海を見るとホッとします。
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