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【第71回】テレビCMは効果があるのか?自社に合う広告宣伝を検討する

Q最近、競合他社がテレビCMを始めました。
言いたくないのですが、なんというか微妙な作りです。
ダサいCMは逆効果にならないのでしょうか?
弊社も作ったほうがよいでしょうか?
(工務店・中部地方)

ACMの効果ですね。疑問を持たれるのもよく分かります。
広告宣伝の最近の傾向は変わってきています。

まず種類からご説明します。
広告宣伝には、「プッシュ(push)型」と「プル(pull)型」と呼ばれるものがあります。
 

広告宣伝の手法

プッシュ型

テレビCMやラジオ、新聞広告、チラシなどがこれに当たります。
不特定多数に向けてプッシュ、つまり「押し出す」手法です。
「アウトバウンド型」ともいいます。

プル型

代表的なものは、インターネットです。
ホームページやブログなど、顧客の方から情報を取りに来てくれます。
興味を持つ人をプル、「引っ張り込む」手法です。
「インバウンド型」ともいいます。

プッシュとプルの間

雑誌媒体は、住宅雑誌に限定すれば、少なくとも「家づくりをしたい人」に絞り込みができます。
テレビCMよりはずっと効率がよいですね。
その意味では、プッシュ型とプル型の間に位置するとも言えます。
 

テレビCMは限られた時間との勝負

テレビCMの効果

テレビCMは、テレビをつけておくと勝手に流れてきます。

そのため、意識しなくても自然に刷り込まれて覚えます。
結果的に「○○という会社、聞いたことがあるね」となります。

数を打てば打つほど効果は高まるのですが、時間はせいぜい15秒、長くて30秒です。
あっという間に終わってしまいます。

その15秒の中で何を印象付けるかが、カギとなります。

社名を覚えてもらいたいのであれば、ひたすら連呼する手もあります。
「家を建てるなら○○工務店、○○工務店、○○工務店、○○工務店…」

これは刷り込みとしては一番いいのですが、とにかくダサくなります。
15秒でセンス良くまとめるのは、なかなか難しいということです。

業種や商品によっては、ダサいことが逆に話題を呼び、人気が出る場合もあります。
しかし、工務店さんにおいては厳しいのではないでしょうか。
 

そもそもテレビを見ている人は多いのか

近ごろ、「テレビ離れ」という言葉をよく耳にします。

総務省の「平成30年度版 情報通信白書」の中に、「主なメディアの利用時間と行為者率」のデータがあります。
過去5年間の「テレビ(リアルタイム)視聴」「テレビ(録画)視聴」「ネット利用」「新聞閲読」「ラジオ聴取」の変化を比べたものです。

これによると「テレビの視聴時間は全体で減少。インターネット利用時間は増加傾向」とあります。

【参考】主なメディアの利用時間と行為者率 -総務省
 

2017年のデータ(平日)を見てみます。

20代は、テレビ視聴する人が63.7%、ネット利用する人は95.1%。
30代は、テレビ視聴する人が76.5%、ネット利用する人は90.6%。
となっています。

つまり、家を建てる年代の人のうち、約2~3割はテレビを見ていないことになります。

帰宅したらテレビをつける習慣のある人はいます。
ただ、つけたまま家事をしている場合もあるので、テレビを集中して見る時間は思いのほか少ないのかもしれません。
 

ラジオの可能性は?

地元のFMなどで、工務店さんが3分くらいの番組を持たせてもらうケースがありますね。
「○○工務店提供」として、家づくりについて社長が語るようなものです。

ラジオはテレビに比べ、費用は安く済みます。
ただ大事なのは「御社のお客さまになる人が、その時間にラジオを聞いているかどうか」です。

先ほどの総務省のデータでは、平日のラジオの聴取率は20代で3.0%、30代で2.3%です。
休日はさらに低くなっています。
ラジオを聴くのは、車の中、移動中、仕事中などが考えられます。
 

これを踏まえると、通勤時間帯に流すのであれば良いと思います。
仕事に行く奥さまもいるので、通勤中の車で聞いてもらえる可能性があります。

地方は時間が早いため、朝は8時~8時半くらいまでですね。9時では遅いと思われます。
あるいは夕方、帰りの時間です。
奥さまに届くような時間帯であれば、ある程度の効果は見込めるかもしれません。

何を話すかが大切になるのですが、機会があれば利用してもよいのではないでしょうか。
 

ネットは時間や場所を問わない

やはり現在は、ネットを使ってホームページ、ブログを随時投稿するのがおすすめです。
コストもあまりかからないからです。

家を建てる年代の人のうち、9割以上がネットを利用しています。
ですから、「工務店さんがネットを使わない手はない」と言えます。

地域の雑誌媒体や、地域の住宅ポータルサイト(同じ地域の工務店情報をまとめたサイト)があれば、そちらとの連携も検討します。
自社ホームページとつなげる仕掛けにすると、効果はかなり期待できます。

ネット媒体はそれぞれ特徴がありますので、自社に合わせて使い分けることも考えてください。
 

ストック型…ブログ

ブログは「ストック型」のメディアと言われます。ストックは「蓄積する」ことです。

ブログを投稿するごとに、その記事がネット上に残っていきます。
がんばって100本投稿すれば、100本溜まります。
それが御社の財産になるのです。

蓄積しているので、ネットで検索すれば、ヒットする確率も高まります。
そのためには、中身のある記事を数多く載せていくことが大切です。
 

フロー型…ツイッターやフェイスブックなど

一方、「フロー型」のメディアもあります。フローは「流れていく」ことです。

フロー型の代表的なものは、ツイッターやフェイスブックです。
ツイッターは投稿したら瞬間的に拡散して終了です。
さかのぼれないわけではありませんが、次から次へと流れてくるので埋もれていきます。
 

なお、インスタグラムは一見「フロー型」に思えますが、ハッシュタグ(#)でさかのぼって見られるため、「ストック型」とも言われています。

工務店さんにはブログやインスタグラムが向いているのではないでしょうか。
 

新しい時代には、新しい手法を

個人的には、テレビ離れが進んでいる現在、テレビCMはおすすめしません。

テレビCMのような、ただやみくもに「誰かに当たるだろう」式で行うマスマーケティングは、昭和の手法です。

平成も終わり、令和の時代となりました。
先を見ていきましょう。

どんな媒体を使うにしても、「自社のお客さまにちゃんと届くかどうか」を考えることが大切です。
そして、自社でできる、新しい時代に合わせた広告手法を検討してみてください。


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ABOUT US
間瀬 隆司
工務店経営の専門家。集客・営業、人材教育・組織づくり、経営計画、資金繰りを含めた「全ての面倒をみる」スタイルのコンサルティングで、工務店さんを支え続けて30年。工務店のほぼすべてを知り尽くしており、駆け込み寺的な役割を果たしています。神奈川県横浜市在住。海を見るとホッとします。
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