先日、同業者から、もっと積極的に発信したほうがいいと言われました。
でも現場もありますし、正直しょっちゅう更新する余裕もありません。
ホームページに力を入れる必要はあるのでしょうか。
(工務店・59歳・兵庫)
ホームページはとりあえず作っておけば、自社の紹介にもなるし、あまり不自由は感じないかもしれません。
それでも、積極的に発信すればお客さまが増えるのは確かです。
工務店業界はネット関連では後発組
私は2000年ごろからインターネット業界ともご縁があり、工務店さんのホームページも長年拝見してきました。
個人的な感覚ですが、工務店業界のホームページやネットに関する意識は、他の業界よりも7~8年は後れを取っているように感じます。
木造建築は究極のアナログですから、デジタルにあまり意識が向かないのは無理もないと思います。
スマホが普及したのはここ10年ほどです。
それでも、ホームページに力を入れる工務店さんは少数派だったのではないでしょうか。
ですから、疑問を持たれるのもよく分かります。
逆にいえば、ホームページに力を入れることで他社の先を行ける、とも言えます。
チラシと同じ道具だと考えて
「ホームページ」「ネット」と聞くと、「何かすごく広いもの」「もやもやしたよく分からないもの」というイメージを持つ方も多いと思います。
でも簡単に言えば、自社を知ってもらうための「伝達手段」、伝える「道具」です。
手段が、紙のチラシから、インターネットのホームページに代わっただけです。
チラシは紙面に限りがありますが、ホームページにはより多くの情報を載せられます。
ホームページを活用するかしないかは、新たな道具を使うか使わないか、です。
これだけスマホが普及し、世の中(お客さま)が変わってきていますので、工務店さんもあまり無関心ではいられないように思います。
チラシ時代とネット時代の違い
例えば、現場見学会の折込チラシを作るときは、広告屋さんに依頼していましたよね。
どんな建物なのか写真を撮り、特徴を伝えて、「ではお願いします」と依頼。
チラシは広告屋さんにおまかせ、が基本でした。
それでも昔は市場の方が大きかったため、集客に困ることはありませんでした。
工務店さんはそこから契約を取れば、やっていけたのです。
同様に、ホームページをホームページ屋さんにおまかせしている工務店さんも多いと思います。
しかしホームページに関しては、作成してもらった後も、さらに「自分で発信していく」のが世の中の流れです。
「自分でやらないと効果がない」と、多くの社長さんたちが気づき始めました。
自社の宣伝を他人まかせにしていても、それほどお客さまは来ないからです。
チラシ集客全盛期は、他に情報がないので、チラシを見たお客さまが来てくれました。
でも、今のお客さまはスマホを持ち、ネットで新しい情報を集めています。
お客さま側が、工務店を探しているのです。
お客さまが自分で探す手段を持ってしまった、とも言えます。
こうなると、ネットで新しい情報を発信しない工務店さんは、まず見つけてもらえない、来てもらえないことになります。
「動きがない」のは致命的
ホームページは、更新しなければどんどん寂れていきます。
一度作ったら終わり、ではありません。
ネットの世界は、動いていることが基本です。
その中で「動きがない」のは、時間がそこで止まってしまっている、ということです。
ですから、ブログを日々更新するとか、実績写真を追加していくなど、自社の動きをこまめに発信する必要があるのです。
ホームページは「信用を得る」ためのもの
そもそも、ホームページを運営する目的は何でしょうか?
実は、会社や商品を宣伝するのが主な目的ではないのです。
「まだ御社を知らないお客さまから、信用を得る」こと。
これが最大の目的だと考えましょう。
御社のホームページのすぐ向こうにはお客さまがいて、「自分の家を建ててほしい」と思っているのです。
でも情報が少ないと、どんな会社なのか分からないので、御社に来るのをためらいます。
ホームページも、今までは「自社の紹介を載せる」ために作られてきました。
ところが現在は、「お客さまが知りたい情報を載せる」方向へと変わってきています。
お客さまは何が知りたいのか、を考える
工務店さんは、「いい家を建てたい」「いい家に住んでもらいたい」。
そのために断熱気密を研究したり、工法を工夫したりと普段から努力されています。
ですから、「構造や仕様」をアピールする傾向があります。
確かに、構造や仕様は重要です。お客さまも必ずチェックしています。
でも、それが決め手になるわけではありません。
お客さまは、「自分が好きなデザイン・雰囲気」や「自分が安心して家づくりを任せられる工務店」を探しているのです。
御社が伝えたいこと=お客さまが知りたいこと、とは限りません。
お客さまが何を知りたいかを想定し、お客さまの心に響く情報を載せていきましょう。
きっと、御社にしか発信できない情報があるはずです。
お客さまを受け入れる態勢づくりも忘れずに
きれいなホームページを載せていて、それを見たお客さまが御社にやって来たとします。
でも来てみたら、対応が全然違った…。
となると、せっかくのお客さまが去ってしまいます。
期待して来てくださったお客さまをがっかりさせないために、スタッフ全員、ネットからのお客さまを受け入れられる態勢を作っておきましょう。
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