
彼は最初に入ったハウスメーカーでは毎年年間10棟以上契約しており、その後、地元工務店を転々としてきた人材です。
面接時には「年間10棟目標で行きましょう」と威勢のいいことを言っていました。
しかし今のところ契約ゼロです。
毎朝、朝礼が終わったらすぐに出かけて、夕方まで帰ってきません。
どうすれば良いでしょうか?
(工務店経営・60歳・千葉)
はい。この問題でお悩みの社長さんはかなり多くいらっしゃいます。
最初にお伝えしたいことがあります。
残念ながら、「即戦力」の営業マンは存在しません。
特に年齢が40代後半で、ハウスメーカーから工務店を転々としてきたような人材は、まず活躍は期待できないと考えたほうが良いと思います。
営業マンはスーパーマンではない
今回は既に採用されていますが、はじめに採用の段階で、充分な検討が必要です。
住宅の営業マンに関しては、3社以上転職してきた人材は基本的に採用を見送ることをおすすめします。
営業マンを採用する際には、第29回の記事も参考にしてください。
おそらく、社長の期待している「営業マン」は、
どこからか分からないが、見込み客を見つけてきて、うちのお客さまになるよう、「うまいこと」話をして、契約を取る。
こんなイメージではないでしょうか。
しかし、ハウスメーカー出身で、それができる営業マンはごく稀です。
ハウスメーカーの営業マンが活躍する条件は?

では、ハウスメーカーではどんな営業をしているのでしょうか。
ハウスメーカーは、総合展示場にモデルハウスを展開しています。
総合展示場には大手ハウスメーカーが多数出展していますから、家を建てたいお客さまがたくさんやってきます。
ハウスメーカーの営業マンは、このお客さまを待っているのです。
最新設備の整ったモデルハウス、豪華なパンフレット、分かりやすい資料などを豊富に用意して、お客さまに説明します。
つまり、ハウスメーカーの営業マンが活躍するためには、
(1)待っているだけで多くのお客さまが来場する環境
(大手ハウスメーカーが出展している展示場)
(2)最新のモデルハウス
(3)立派なパンフレットや豊富な説明資料
この3つの条件が必要となります。
一方、工務店の環境は?
上記の条件が満たされていても、ハウスメーカーで年間10棟以上取れる営業マンは、全体の2割ほどです。
多くの工務店さんには、(1)~(3)の条件が充分に整っていません。
そこに、ハウスメーカーでは活躍できなかった残りの8割の人材が採用面接にやってくる、と考えてください。
なかなか厳しいことにお気づきかと思います。
これが、ほとんどのハウスメーカー出身営業マンが「工務店で活躍できない」理由です。
ただ、まれに例外はあります。
それは、創意工夫のできる人材、または飛び込み営業ができる人材です。
こういう人材ならば、活躍してくれるかもしれません。
採用した営業マンに活躍してもらう方法
たとえハウスメーカーで年間10棟以上取っていても、工務店で同じようにうまくいくとは限りません。
上記の通り、ハウスメーカーと工務店では、根本的に営業のやり方が違うからです。
したがって、この場合、営業マンに営業のやり方を全面的に任せないようにします。
日報とミーティングで対応を
営業マンには、毎日必ず、営業日報を書いて提出してもらいます。
そして、朝礼後でも夕方でもよいので、社長が直接ミーティングを行います。
その営業日報をベースに、
・今日は何をやってきたのか
・どのような成果があったのか
・そしてこれからどのように対応するのか
を確認します。
私はこれを「レビュー」と呼んでいます。
しっかり「レビュー」をすると、その営業マンが何に困っているのか、会社としてどのように対応するべきかが分かってきます。
そして、できることから対応していきます。
成果が出ない場合は
これらを実施しても成果につながらない場合は、彼とじっくり話し合いをして、その後の処遇を検討します。(配置転換や退職勧奨など)
なお、退職勧奨は非常にデリケートなことなので、事前に社会保険労務士さんと相談してください。
安易に営業マンを採用することは避け、必要な人材をしっかり見極めることが大切です。
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