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【第58回】工務店業界はなぜクレーム産業なのか。その5つの原因と対応策

Q住宅業界は「クレーム産業」と言われるくらい、クレームが多いものです。
お恥ずかしい話ですが、わが社もクレームが多く、電話が鳴るとクレームと思うのか誰も出ようとしません。
お客さまがわがままなのも分かりますが、何とかならないものでしょうか?
(工務店・65歳・年商6億円・埼玉)

Aその状態で今まで営業してこられたのですか。
ある意味凄いと思います…。

まず最初に。
クレームは「多い」のではなく、自ら「増やしている」ケースがほとんどです。
ですから、「増やさない」ことを考えていきませんか?

なぜ「クレーム産業」なのか

そもそも、なぜ住宅業界が「クレーム産業」と呼ばれていたのか?
その原因を考えてみましょう。

1. お客さまは初心者なのに、工務店のペースで話を進めている
2. ご主人だけ、または奥さまだけの時に話を進め、意思疎通が不十分になっている
3. お客さまに言われるがままで、工務店側から提案をしていない。自ら奴隷化している
4. 工務店内部の連携が悪く、お客さまとの決め事が伝わっていない
5. 誰も責任を取らない組織、または社長が責任から逃げる体質である

おおむねこの5点に集約されると思います。

1. お客さまは初心者なのに、工務店のペースで話を進めている

家づくりのアドバイス

新築の注文住宅を依頼するお客さまは、家づくり初心者です。
しかも毎年、家づくり適齢期になった新しいお客さまが現れます。
学校を出たての新人だと考えれば分かりやすいですね。

新人ですから、家づくりのことはほぼ何も分かりません。
いきなり平面図や立面図・仕様書や仕上表を見せられても、どのような家になるか、室内の雰囲気はどうかなど、想像はできません。
そこで、家づくりのプロである工務店から多くのアドバイスが欲しいのです。

一方、工務店のスタッフはどうでしょうか。
毎年、確実にひとつずつ年を取ります。
年齢を重ねると同じ事を説明するのが億劫になる傾向がありますね。

また仕事の慣れも出てきます。
毎回同じ説明をしていると、流れ作業のような感覚になることもあります。

ただ、何度も言いますが、お客さまは家づくりが初めてです。
お客さまが新人なら、工務店は家づくりのプロ、つまり「先生」的存在です。

ですから、一人一人のお客さまに対してきちんと向き合い、丁寧に説明したり、アドバイスすることが必要になります。
こうして徐々に溝が埋まり、話がかみ合うようになると、誤解は減っていきます。

2. ご主人だけ、または奥さまだけの時に話を進め、意思疎通が不十分になっている

プラン打合せの当日に、突然奥さまが学校の用事で参加できなくなり、ご主人だけの打合せになってしまう、こんなケースです。
よくありますよね。

そして2~3時間かけて打合せをします。
ご主人は、「妻には伝えておきます」と言って終了。

ここからが問題です。
2~3時間かけた打合せの内容を、ご主人が奥さまに正確に伝えることができるでしょうか?

それはおそらくムリだと思います。
ですから、奥さまに内容は伝わっていないと考えましょう。

対策としては、

■ 同じ内容を奥さまに伝える場面を設ける
■ 次回の打合せにはご夫婦は必ず同席して頂き、前回の打合せ内容をざっと復習する

などで、ご夫婦の理解レベルを合わせます

こうすることでクレームの種を摘み取っていきます。

3. お客さまに言われるがままで、工務店側から提案をしていない。自ら奴隷化している

第26回で取り上げていますのでご参照ください。

アフターフォロー

4. 工務店内部の連携が悪く、お客さまとの決め事が伝わっていない

内部の連携。いわゆる「報連相」ができていない状態です。

大手でも同様のことが起きるので、教育研修で報連相のトレーニングを行っています。
しかし、中小工務店で教育研修を実施しているところは少ないように思います。
報連相は練習しないとなかなかできないものです。

例えば、毎日営業マンに日報を課している会社があります。
これはとても良いことですが、その中身はどうでしょうか。

中身のあまりない日報だと、上司が見てもどこに問題があるか突き止められません。
日報の書き方にもトレーニングが必要となります。

報連相については、第59回で取り上げていますのでご参照ください。

人を活かす

5. 誰も責任を取らない組織、または社長が責任から逃げる体質である

間違いなく、最終責任者は社長です。
ほとんどの社長は、このことは認識されています。

問題なのは、大きなクレームで「いよいよ自分が出るしかなくなった時」にしか動かない社長です。
このような社長は、普段起きる小さなクレームやトラブルに関しては、担当者任せにしていることが多いのではないでしょうか。

クレームの内容によっては、「なんで俺が謝りに行かなければならないんだ!」と思っているスタッフも少なくないと思います。

この連鎖が「謝罪する」ことに対する嫌悪感となり、誰も責任を取らない体質を作り上げているのです。

クレームの多くは、細かな行き違いの積み重ねで溜まってきたものが、あるきっかけで爆発するものです。

ですから小さなクレームの種を見つけ、早い対応をすれば、大きなクレームにはなりません。

クレームはなくすことができます

クレームはかなり減らせるなくせるものです。

ある工務店さんは、クレームをなくすために多くの業務改善を行うことで、お客さまからの信頼を得るようになり、繁盛店へと変貌しました。

住宅業界がクレーム産業などという言葉は過去のものです。
「クレームをなくす」と社長が決め、社長自らその行動を起こせば必ずなくなります。

この記事に関するご質問・ご感想・お問い合わせは【工務店経営の専門家・ジクージン】まで、お気軽にお送りください。


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ABOUT US
間瀬 隆司
工務店経営の専門家。集客・営業、人材教育・組織づくり、経営計画、資金繰りを含めた「全ての面倒をみる」スタイルのコンサルティングで、工務店さんを支え続けて30年。工務店のほぼすべてを知り尽くしており、駆け込み寺的な役割を果たしています。神奈川県横浜市在住。海を見るとホッとします。
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