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【第59回】報連相で現場トラブルを防ぐ。お客さまの信頼を得る打合せのコツ

Q弊社のスタッフは「報連相」がなっていません。
先日もある新築現場で隣家とトラブルがあったのですが、私の耳に入ったのは2週間も経ってからです。
それも隣家のご主人が現場監督にかなりクレームを入れて、監督がどうにもならなくなり、私に謝罪をして欲しいと言ってきてやっと分かったという始末。
こんな基本的な報連相ができていません。何をどう教えれば治るでしょうか?
(工務店経営・61歳・静岡)

A報連相」とは「報告・連絡・相談」のこと。ホウレンソウにかけた言葉です。

私がこの言葉を知ったのは、社会人になって数年経ったころです。
1982年に山種証券社長の山崎富治氏の著書『ほうれんそうが会社を強くする』で一気に広がりました。

今ではこの言葉は一般に定着しています。

まずは「報告」ができなければ始まらない

私ごとですが、大学は工学部電気工学科で、高電圧工学を専攻していました。
実験科目が必修です。この単位を取らないと卒業できません。

単位を取るためには、実験を行い、そのレポートを1週間後の13:00までに提出することが絶対条件です。提出が1秒でも遅れると受けつけてもらえないというルールです。
ですからレポートを書くのは必死。提出ギリギリまで作っていたこともありました。

その訓練のおかげで、社会人になってから「報告をする」「報告書を書く」といったことで叱られた記憶はありません。

商社に勤めてからも、打合せ議事録をその場で書き、お客さまのサインを頂くようにしてから、自分に起因するトラブルは激減。
結果的にお客さまや周りからの信頼を高めることにもなりました。

「報告」には練習が必要

やはり、「報告」にはある程度の訓練が必要です。

大手企業では、新入社員研修で相当な時間をかけて報告書を書く練習を行っています。
そのくらい「報告する」のは難しいものなのです。

「報告」ができなければ、「連絡」も「相談」もなかなかできないことになります。

社長自身の「報告」はされていますか?

報連相の方法

そこでまず、社長自らが「報告」をしているかどうかが大切になります。

例えば、他の工務店の勉強会に1泊2日で出張してきたとします。
学んだことは相当ボリュームがあると思われます。
会社に戻った後、ミーティングでその学んだ内容をスタッフに報告されていますか?

「○○工務店さんに行ってきた。なかなか良かった。結構凄い。こんな資料をもらってきたので、うちでもアレンジして使おう。△△さん、よろしく」

…えっ? たったそれだけ?

残念ながら、それは出張報告とはいえません。

本当に自社のスタッフに話したいのなら、どんなに短くても1時間くらいはかかるのではないでしょうか。
しかも、ポイントをまとめて整理するのにも1時間はかかると思います。

「そんなに時間をかけるの?」と思われるかもしれませんが、報告は本来このようなものです。

「報告」の練習方法

では、効果的な「報告」の練習方法をご紹介します。

議事録」と「日報」が基本です。

議事録

お客さまとの打合せ議事録は、今すぐ必要かつ有効なものなので、すぐに始めましょう。

■ 手書きの場合

2枚複写式(ノーカーボン)の議事録用紙がポピュラーです。
ネットでも多くの種類が販売されています。

■ パソコンやiPadで作成する場合

事前に議事録のテンプレートを用意しておきます。
また、事務所で打合せの場合はすぐに印刷できますが、お客さまのご自宅などではその場で印刷できるように小型のプリンタを用意しましょう。

効率よく作成するコツ

コツは、とりあえずお客さまとの打合せ中にメモを取ることです。

そして打合せ中、お客さまが考えていたり、選んだりしている時間がありますね。
そのような、会話が途切れているときに、議事録としてまとめ始めます

この方法が確実でモレが少なく、短時間で議事録に仕上がります。

まとめ方は「6W3H」が基本

議事録のまとめ方は、「5W1H」に「1W2H」を追加した「6W3H」が基本です。

・When(いつ)
・Where(どこで)
・Who(誰が)
・What(何を)
・Why(なぜ)
・How(どのように)
が5W1H。

更に、
・Whom(誰に)
・How Much(いくら)
・How Many(どのくらい)
の1W2Hを追加したものが「6W3H」です。

「お客さまのご要望に対して工務店側からは○○をご提案」とか、「○○を検討しいつまでに回答する」などのようにまとめていきます。

その場でサインをいただくのがポイント

手書きとパソコンどちらの場合でも、作成したら、その場でお客さまのサインをいただくことが重要です。

「打合せ議事録は、終了後に整理してから作成して、お客さまに送っています」という方もいらっしゃいますが、その場で作成することをおすすめします。
与える印象や信頼感が違ってくるからです。

打合せが終わった後、お客さまに「15分ほどお待ちください」とお願いしてまとめます。
最後に本日の打合せ内容の読み合わせをして、サインをいただき、終了にします。

会社のミーティングも同様に

会社のミーティングでも、必ず議事録を取るようにしましょう。
ミーティングでは司会者と議事録担当者を順番制にすると良いのではないでしょうか。

日報

基本的には、議事録と同じように「6W3H」です。

必ず毎日夕方に、社長の机に置いて帰る、メールで送る、サイボウズやGoogleなど管理用のソフトに入力するなど、管理のしやすい方法で行います。

社長が目を通すことで効果が高まる

議事録・日報ともに、社長は必ず目を通すようにしましょう。
そして「ん? これは?」と気になることは、すぐに担当者に確認します。

こうすることで「報連相」が意味を持つようになります

社長の負担は若干増えますが、スタッフの動きは驚くほどよく分かりますし、クレームの種も早く見つけることができます。
ぜひ、会社の習慣にしてはいかがでしょうか。

この記事に関するご質問・ご感想・お問い合わせは【工務店経営の専門家・ジクージン】まで、お気軽にお送りください。


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ABOUT US
間瀬 隆司
工務店経営の専門家。集客・営業、人材教育・組織づくり、経営計画、資金繰りを含めた「全ての面倒をみる」スタイルのコンサルティングで、工務店さんを支え続けて30年。工務店のほぼすべてを知り尽くしており、駆け込み寺的な役割を果たしています。神奈川県横浜市在住。海を見るとホッとします。
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